固相抽出 試料前処理 総合カタログ ジーエルサイエンス 20-21(20-21)

概要

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20SamplePreparationProducts固相抽出の上手な使い方2.固相抽出法2.8.4.生体試料中薬物を固相抽出処理する場合のタンパク結合の影響多くの薬物が血漿タンパク質と結合するため(表1)、血清、血漿、尿試料をそのまま緩衝液で希釈して固相に負荷しただけでは、まったく保持されない場合があります。このような現象を回避するためには、固相抽出を行う前に、あらかじめ目的物質がどの程度血漿タンパク質と結合するのかを調べて除タンパク処理を行い、タンパク結合の影響を軽減させる必要があります。以下に、タンパク結合の解離方法についていくつかの方法を紹介します。2.8.5.血中薬物のタンパク結合解離方法①マトリックスのpHを変える pHを変えることにより、タンパク結合力を弱めて固相抽出を有利に行うための手法です。実際には、血清、血漿にリン酸、塩酸などを添加して、試料を酸性に調整した後、固相抽出処理を行います。②タンパク結合を抑制する試薬を加える 薬物とのタンパク結合を抑制する試薬には、メタノールやギ酸を用います。LC-MS(/MS)分析が主流になっている現在では、揮発性の高いギ酸添加が好まれます。0.1∼0.2mLの血漿に対し、メタノールやギ酸を20µL程度加えると効果的です。もし、試料の液性を酸性にすることで保持が弱くなり、水洗浄の段階で漏れ出るような場合は、試料の調整の際にアンモニア水約50µLを加え、弱アルカリにして負荷することで改善できる場合があります。③タンパク質変性剤を添加する 試料にアセトニトリル、トリクロロ酢酸または過塩素酸を加えてタンパク質変性を起こし、これを遠心分離、フィルター処理することにより除タンパクを行う方法が用いられています。この方法では目的物質がタンパク質変性沈殿物に取り込まれるリスクがあるため、導入には十分な確認作業が必要です。また、高濃度(4∼8mol/L)の尿素やグアニジン塩酸塩を用いることで同様の効果を狙うことも可能です。ただしこの方法は、イオン交換モードでの固相抽出には適用できません。2.8.6.食肉、動物臓器、食品等におけるタンパク結合解離方法①有機溶媒アセトニトリルによる除タンパク 牛乳などの脂肪分を含む乳製品では、アセトニトリルを約4倍量加えて除タンパク処理を行なった後、遠心分離し上清を固相抽出に用います。②メタリン酸、トリクロロ酢酸を用いる方法 動物用医薬品分析では、除タンパク・抽出溶液としてメタリン酸が用いられることが多いです。目的物質を選択的に抽出するためには、これらにメタノールまたはアセトニトリルを混ぜ合わせた混液を利用します。トリクロロ酢酸は、約2∼4%の濃度になるようにリン酸緩衝液などにあらかじめ添加してなじませたものを利用します。③限外ろ過法による除タンパク ①、②が利用できない場合は、限外ろ過膜を用い、分子量(サイズ)によりタンパク質を除去する方法も利用できます。試料によっては処理にかなりの時間を要するため、通常はあまり好まれていません。薬物名結合率(%)薬物名結合率(%)薬物名結合率(%)【スルフォニル尿素系血糖降下薬】アセトヘキサミド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・88グリベンクラミド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・97クロルプロパミド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・96トルブタミド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・93【非ステロイド性消炎鎮痛薬】アスピリン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90イブプロフェン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・99インドメタシン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90ケトプロフェン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・92ジクロフェナック・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・99スリンダク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・93ナプロキセン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・99ピロキシカム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・99フェニルブタゾン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・99フェンブフェン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・99ブコローム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90【抗てんかん薬】バルプロ酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・93フェニトイン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90【ジギタリス製剤】ジゴキシン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90ジギトキシン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・95∼99【向精神薬】アミトリプチリン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・96イミプラミン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・89∼94クロルプロマジン・・・・・・・・・・・・・・・・95∼98デシプラミン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・92ハロペリドール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・92オキサゼパム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90クロルジアゼポキシド・・・・・・・・・・・・・・・・96ニトラゼパム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90ジアゼパム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・98【その他】クロフィブラート・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・96ワルファリン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・97表1薬物の血漿タンパク質への結合率出展:「臨床薬物動態分析の実際」広川書店(1996)より一部抜粋5)固相抽出の上手な使い方
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21SamplePreparationProducts固相抽出の上手な使い方3.試料別の固相への適用方法(有機物分析)実試料を固相抽出に適用する場合は、あらかじめ試料の種類別に、希釈、ろ過などの事前処理が必要になることがあります。ここでは、実試料を固相抽出にかける前に必要となる事前処理例について、いくつか紹介します。3.1.血清、血漿血液試料のうち、血清、血漿の場合は、試料を等量の水や緩衝液で希釈します。目的物質のpKaやタンパク結合を考慮し、緩衝液のpHを設定します。一般的な血中の薬物分析では、目的に応じて血清、血漿を分析対象試料として扱い、全血そのものを分析対象とすることはまれです。血中の薬物分析における留意点は、未変化体を分析するのか、あるいはタンパク結合した薬物をフリー体に変換して測定するのかなど、その目的をはっきりさせることです。また、ほとんどの薬物がタンパク結合をするため、必要に応じてタンパク質の結合を事前に解離させます。薬物によっては、血中に抱合体として存在しているものもあります。この場合、必要に応じて尿と同様の処理(3.3参照)を行います。3.2.全血全血は赤血球を含んでいるため、有機溶媒を加え、緩衝液で血球を破壊してから抽出操作にかけます。血清や血漿よりも、薬物のタンパク結合の影響が大きくなる傾向があるので、事前に除タンパク効果については十分に検討することが求められます。3.3.尿尿とともに排泄される薬物は体内で代謝されているため、未変化体としてはほとんど排泄されず、抱合体としてその大部分が排泄されます。したがって、尿中の薬物を固相抽出する際には、あらかじめ抱合体を遊離型に変換しなければならず、β-グルクロニダーゼなどの酵素を用いて加水分解するか、酸分解処理あるいは強アルカリによる加水分解処理を行う必要があります。また、尿を取り扱う上では、高濃度の塩類が含まれていることを考慮します。最低限、等量の水か緩衝液で希釈する必要があり、可能であれば5倍∼10倍程度希釈することが理想です。3.4.組織物・臓器臓器などは、第一段階として有機溶媒を用いてホモジネートした後、遠心分離により上清を分取して固相抽出処理を行います。脂肪の多い組織は、ヘキサン、クロロホルムなどの低−中極性の溶媒で処理し、タンパク質系の組織は、メタノールなどのアルコール/緩衝液混合物でホモジネート処理を施します。得られた上清を、血液や尿と同様に、液性を予備調製してから固相抽出にかけると効果的です。4.試料別の固相への適用方法(元素分析)5.LC-MS、LC-MS/MSのための前処理方法近年では、ICP-AES、ICP-MSなどの高感度検出器の普及に伴い、生体試料中の微量元素を有機形態のまま分析する試みがなされています。血液や尿試料中の微量元素を存在形態のまま分析するには、元素分析で一般に用いられている酸分解処理を行うと、化学形態が破壊され変化してしまう恐れがあります。このような微量元素を有機形態のまま分析を行いたい場合、試料を緩衝液等で希釈してフィルター処理後、固相抽出処理を行います。一般的に水中に溶存している金属はイオンであるため、試料前処理においては、pH調整を行いながらイオン交換モードを用います。JISK0102では、脱塩しながら重金属類を回収する方法の構目に、InertSepME-1、ME-2のようなキレート樹脂を装填した固相カラムが記載されています。LC-MS、LC-MS/MS分析で生体試料中の薬物分析を行う際、重要視される項目の一つとして、イオン化抑制による検出感度の減少を最小限度に抑えることがあげられます。固相前処理では、数十mol/L程度の塩を含む緩衝液溶液を使用する場合があります。リン酸緩衝液のように不揮発性のものも多いです。可能であれば、揮発性のギ酸、酢酸アンモニウム、酢酸系に置き換えられるものを使用すると効果的です。メソッド置き換えが難しい場合は、試料負荷後の洗浄工程で、精製水をよく流して十分に脱塩しておくことを推奨します。当社では、イオンクロマトグラフィーの前処理用として利用されている脱塩専用カラムを、MetaSEPICシリーズとして提供しています。LC-MS、LC-MS/MSの脱塩処理に、これらの製品が効果的な場合もあります。MetaSEPIC-Ba、IC-Agは、イオン交換樹脂にBaや、Agを固定化したものであり、硫酸イオン、塩化物イオンの除去が簡単に行えます。固相抽出の上手な使い方

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